本当に素晴らしい本に出会えました。
タイトルと表紙に惹かれて、借りてみたのですが、少し読みだすと止まらなくなってしまって、返却期間ギリギリまで何度も読み返しました。
1つの青いスーツケースが繋ぐ、連作短編集です。
それぞれの話は独立しているのですが、どこかで繋がっていて、1冊読み終えた時には点と点が線になって、何とも言えぬ感動が押し寄せてきます。
どの話も本当に素敵なのですが、特に第2話の「三泊四日のシンデレラ」が今私が置かれている状況とリンクして、読んでいて涙が止まらなくなってしまいました。
世の中、言いたくても言えないことってあると思うんです。
1番弱い部分を掴まれているからこそ、言ってしまったときに、それをどうにかされるんじゃないかという恐怖。
その私の言いたくても言えない本心を、この話の中で代弁してもらった感じがして、涙が出てきました。
ニューヨーク、香港、アブダビ、パリ、シュトゥットガルト、そして日本を舞台に繰り広げられる様様な人間ドラマがこの本には詰まっています。
旅が好きな方には本当にお勧めの本です。
2006年の芥川賞受賞作品とのことです。
1冊目の『スーツケースの半分は』にあまりにも感動して、少し読むのに時間がかかりましたが、この本もとても良かったです。
最初の30ページくらいは情報量が多くて、「なかなか読みにくいなぁ。これが芥川賞作品なのかぁ」と思ったのですが、話が進むにつれて、そういった読みにくさは無くなっていきました。
吟子さんという老人の家に居候することになった主人公。
働きながら恋をし、恋に破れ、最後には吟子さんの元を去って行くのですが、吟子さんが最後に言った「この世界には外も中も無いのよ」という言葉に凄い深みを感じました。
それから大都会・東京に生きる人間の切なさだったり、ちょっとした喜びだったりを随所に感じることが出来たのも素敵でした。
イギリスから中国に返還されて以降、どんどん言論の自由が規制されつつある香港。
そんな中で民主主義を守ろうと、勇敢に立ち上がった若者の運動の様子を中心に描かれています。
今の香港を知る上ではとても勉強になる本ですが、ところどころで関係のない日本批判など、著者の政治思想が組み込まれていたのが少し不快でした。
”一つの中国”(台湾問題)を核心的利益とする中国、最終的には台湾を中国のものにしようとしているとんでもない国ですが、台湾の前に香港のことで動いてくるのでしょうね。恐ろしくなります。
『池上彰のそこが知りたい!ロシア』
池上さんの解説はとてもわかりやすいので、高校生の頃から勉強させて頂いているのですが、今回はロシアの本を借りてきました。
ソ連崩壊からプーチン政権の誕生、クリミア併合、北方領土問題まで、くわしくわかりやすい解説がされています。
ロシアは日本から遠い国というイメージがありますが、実は極東ロシアなら東京から飛行機でたった3時間なんですよね。
ロシア側から見る、日本と中を深めることで得るメリットには、そういった近さが関係していたのですね。
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今月はこの4冊を借りました。
『スーツケースの半分は』という素晴らしい本を出会えて本当に良かったです。
この本はいずれ買って手元に置いて、繰り返し読めるようにしたいと思います。
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